女性から「早漏!」となじられてしまうと男性ならば誰もが傷ついてしまいます。しかし、「女性が満足しなければ早漏」ということはなく、早漏の医学的定義はこのようになっています。
(1)ほぼ常に挿入前か挿入後1分以内で射精してしまう
(2)ほぼすべての膣挿入で射精を遅らせることができない
(3)そのことでセックスに対し、苦痛や煩わしさや欲求不満を感じている
この定義を知り、ホッとした方もいるのではないでしょうか?しかしながら、女性は通常の男性の挿入時間では満足できないことが分かっており、とあるアンケートでは、女性の希望とする挿入時間は15.7分で、中には30分以上を希望した女性もいるほどです。
早漏になるメカニズム
ノルアドレナリンの増加速度が原因
そもそも射精とは、脳内でノルアドレナリンの分泌が増えることで起こります。そのため、早漏でない男性も射精の際には脳内がノルアドレナリンで満たされています。しかし、早漏の男性との決定的な違いは、ノルアドレナリンの分泌速度が速すぎないことです。では、なぜ早漏の男性はノルアドレナリンが分泌されやすくなっているのでしょうか?それは、ノルアドレナリンが脳で緊張や不安を感じると分泌が活発になってしまうことと、ノルアドレナリンを制御するセロトニンが不足してしまっていることが原因です。
早漏は遺伝する?
日本人はセロトニンの分泌が苦手
早漏になるメカニズムを踏まえると、早漏にならない人はセロトニンがよく分泌される人と考えられます。セロトニンの分泌の多いか少ないかを決める遺伝子が存在するのをご存知でしょうか?セロトニン・トランスポーターと呼ばれる遺伝子には、セロトニン分泌が得意な「L」と不得意な「S」があり、両親からどちらか一方ずつをもらうので、「LL」「LS」「SS」のどれかになります。LLだと最もよく分泌できる遺伝子型ですが、日本人にはわずか約3%しか存在しません。LSだとLLには劣るものの問題なく分泌できる遺伝子型です。こちらは日本人の3割に存在します。そして、一番早漏になりやすいLSという最も分泌が苦手な遺伝子型ですが、日本人の6割以上の人が当てはまります。つまり、日本人は生まれながらにして早漏が多いということです。
早漏には治療薬がある
一番はダポキセチン、補助にリドスプレー
ダポキセチン(プリリジー)が登場するまで、パロキセチン(パキシル)がメインで早漏治療に使われていました。パロキセチンもダポキセチンもSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)ですが、パロキセチンが約16%の方にしか効果がない上に、挿入時間の延長も34~90秒しか見られないのに対し、ダポキセチンは約75%の方で挿入時間が3~4倍に延長されるため、現在ではダポキセチンが早漏治療の第一選択薬です。とは言え、パロキセチンが適合するという方も中にはいらっしゃるので選択肢の一つではあります。また、ダポキセチンは継続服用で挿入時間が徐々に延長されるため、一時的ではない早漏症改善に期待できます。ダポキセチンで気長に治療しつつ、セックスではすぐに早漏を改善したいという方におすすめなのがリドスプレーです。リドスプレーは局所麻酔成分入りの早漏治療用スプレーで即効性があります。しっかりと洗い流すことでオーラルセックスも可能ですので、麻酔成分入りの早漏コンドームよりも使い勝手がよく、人気です。
ユリーフは使わないでください
排尿障害改善薬のユリーフを早漏治療薬として処方しているクリニックがあるようですが、大変危険ですので使わないようにしましょう。なぜなら、ユリーフを使用すると20~30代の若年層の方でほぼ100%逆行性射精が生じてしまう上に、不可逆(一生戻らない)であることが報告されているからです。逆行性射精とは、精液が膀胱に流れ込む症状で、男性不妊症の原因となります。
早漏治療薬は医療機関で
個人輸入や通販サイトは危険
早漏治療薬は確かに、個人輸入や通販サイトで手に入れることができるかもしれません。しかし、個人輸入は現地に赴くコストと労力が必要な上に、万が一偽造品を国内に持ち込もうとした場合には逮捕されてしまう可能性すらあるため、薬の真贋を見極められる相当の知識が必要です。そのため、多くの人はワンクリックで購入できてしまう通販サイトを利用しがちです。通販サイトは「個人輸入代行」に限り合法ですが、実際には悪質な業者が違法な業態で運営しています。また、そうした業者は偽造品や粗悪品を仕入れるルートを持っており、犯罪組織とのつながりも指摘されています。私たちの健康を守るためにも、善意のお金が犯罪に使われないためにも通販サイトは利用すべきではありません。ご自身の身を守るためにも医薬品は医療機関でお求めください。