「ダポキセチン」と聞いてもピンとこない方もいるかもしれませんが、世界初の早漏治療薬で最も有名な「プリリジー」の有効成分がダポキセチンです。ダポキセチンはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に分類されます。射精にはノルアドレナリンが大きく関わっており、脳内のノルアドレナリンの分泌量が高まると射精に至るという仕組みになっています。ノルアドレナリンの分泌速度が速くなりすぎなければ早漏にはならないのですが、ノルアドレナリンは緊張や不安を感じたときに分泌が活発になってしまうため、性行為に免疫のない男性は通常よりも分泌が早まってしまい、結果的に早漏になってしまいます。しかし、脳内にセロトニンが足りていれば、ノルアドレナリンの分泌を抑制してくれるため、早漏を防ぐことができます。そこで、ダポキセチンを服用すると、神経でのセロトニンの再取り込みを阻害してくれるので脳内のセロトニンが増加し、ノルアドレナリンの分泌を抑制してくれるため、射精までの時間を延長することができます。
ダポキセチン(プリリジー)の効果・効能
約75%の方に効果あり
ダポキセチンが登場するまでは、抗うつ剤のパロキセチンが副作用として「射精までの時間の延長」があるため、早漏治療に使用されることが多くありました。しかし、パロキセチンは約16%の方にしか効果が現れない上に、平均34~90秒ほどの延長にとどまり、早漏治療としての効果はやはり中途半端になってしまいます。ダポキセチンが早漏治療薬として処方されてからは、約75%の方に効果が見られるという高い早漏治療効果から、早漏治療薬の第一選択薬としてその名を馳せました。ダポキセチンの服用により、射精までの時間が約3~4倍に延長した他に、パートナーの満足度も2倍になったとの報告があります。また、リドカインスプレーのように感度が落ちることもありません。ダポキセチンは継続服用により射精までの時間も徐々に延長していくので、早漏症自体の改善も見込めます。
ダポキセチン(プリリジー)の飲み方・服用方法
性行為の1~3時間前に服用
ダポキセチンは短時間作用型のSSRIになりますが、服用タイミングは性行為の1~3時間前です。4~5時間効果が持続します。ダポキセチンは30mg錠と60mg錠の2種類があり、一般的な方には60mg錠からの処方が標準です。効果が不十分な場合は1日2回で90mgまで服用できるため、30mg錠を追加し、60mg錠+30mg錠と服用するのがおすすめです。また、食事の影響は受けないため、お好きなタイミングで服用いただけます。
ダポキセチン(プリリジー)の副作用
副作用の頻度は1~10%と低い
ダポキセチンは大規模臨床試験も経ているため高い安全性が認められています。重篤な副作用は報告されていませんが、軽微なものがいくつかあります。主な副作用は、頭痛、めまい、ふらつき、嘔吐、眠気、睡眠障害、疲労感、下痢、のどの渇きです。また、副作用の頻度も1~10%と低いです。
ダポキセチンの服用できない方・禁忌・併用禁忌薬
以下の方は服用できません
ダポキセチンは女性や、未成年は服用できません。心臓に疾患のある方や、肝障害、腎障害のある方は服用できません。また、併用禁忌薬として抗うつ剤(SSRI等)、鎮痛剤、睡眠薬、抗真菌薬(水虫治療薬)がありますので、服用中の方はダポキセチンを処方できません。お薬手帳などをご持参の上、医師の診察を受けるようにしましょう。
ダポキセチン以外の早漏治療薬
リドスプレー
リドスプレーは、局所麻酔薬リドカインを含んだスプレー型早漏治療の外用薬です。リドカインを陰茎に噴射すると、その周囲の血管が収縮し感覚を麻痺させるので感度が落ちます。そのため、包茎などにより刺激を感じやすいために早漏になってしまっている人には特に効果があります。ダポキセチン(プリリジー)との併用がおすすめです。
パロキセチン(パキシル)
パキシルは、ダポキセチンと同じようにSSRIに分類される、従来の早漏治療薬です。パキシルは抗うつ剤としてもよく使われていますが、副効用として若干の早漏改善が見られるため早漏治療薬としても処方されていました。現在でも、一部の方には相性がよく処方を希望されます。
ユリーフは絶対ダメ
クリニックによっては、排尿障害の改善薬のユリーフを早漏治療薬として処方しているところもあるようです。ユリーフは、20代・30代の若年層が使用した場合に、ほぼ100%逆行性射精が生じてしまう上に、不可逆(一生戻らない)であることが報告されております。逆行性射精とは、精液が膀胱に流れ込む症状で、高い確率で男性不妊を引き起こします。早漏治療薬としてのユリーフの使用は大変危険なため、絶対に使用しないようにしましょう。
お悩み方へ
人に相談をしづらいお悩みかと思いますが、当院は医師を含む全スタッフが男性職員のみのクリニックとなり、安心してご相談頂ければと存じます。ご来院をお待ちしております。