今回はMSD社(メルクシャープアンドドーム社)が製造販売している前立腺肥大治療薬であるプロスカー(Proscar)のジェネリック品、フィンカー(Fincar)についてです。
フィンカーとは
フィンカーは上記の通りプロスカーのジェネリック品になりますが、世界規模のジェネリック医薬品製造会社であるインドのシプラ(Cipla)社によって製造販売されています。
シプラ社は他にもプロペシアのジェネリック医薬品であるフィンペシア(Finpecia)も扱っていますし、AGA治療薬以外にもHIV治療薬や抗うつ薬なども手掛けています。製薬工場施設が10ヶ国にわたり、約150ヶ国に対して医薬品製剤を輸出しているほど世界ではメジャーなメーカーと言えます。
プロスカーのジェネリック品のため有効成分にはフィナステリド5mgを含んでおり、薬効としては前立腺肥大症に対するとされています。
AGA治療におけるフィナステリド
フィナステリドは冒頭にもある通り、アメリカのMSD社によって開発され1992年に前立腺肥大の治療薬としてのプロスカーがフィナステリドの用量5mgで認可され、その後の再研究においてフィナステリド1mgという用量でAGAに対する治療薬としてプロペシアが発売されました。
AGAは男性ホルモンであるテストステロンと5α還元酵素という酵素の結びつきによってDHT(ジヒドロテストステロン)が生成されることで引き起こされます。この5α還元酵素にはI型とII型のものがAGAに影響を及ぼすのですが、I型の5α還元酵素は全身の皮脂腺に存在し、II型は頭頂部や前頭部の毛乳頭という毛髪を作るうえで重要な部分に存在します。フィナステリドはこの5α還元酵素II型を抑制することでその効果を発揮し、5α還元酵素の働きを抑える作用を持つ薬を「5α還元酵素阻害薬」と呼びます。
AGAを発症することでヘアサイクル(毛周期)が乱れ、成長期・退行期・休止期と一定期間を経て周回している期間が短くなり、成長期で時間をかけて栄養を毛髪に送っているのが十分に成長しない状況になるので、細く短い毛髪ばかりになってしまい頭皮が目立ち薄毛が明らかになります。毛髪すべて同時に移行していくのではなく、一本ごとに滞在している状態は異なります。
初期脱毛
フィンカーに限らず5α還元酵素阻害薬を服用するとヘアサイクルの乱れが整うので成長期に滞在する期間が延長し、しっかりと栄養が毛髪にいきわたるようになります。そのため、現存する細く短い弱った毛髪が新たな毛髪から押し出される形で抜け、生え変わります。これが「初期脱毛」です。初期脱毛は個人差によって異なり、全くでないという方もいますが薬の服用から約2週間~1ヶ月続くと言われています。初期脱毛は最初ショックに感じるかもしれませんが、新たなしっかりとした毛髪が生まれてくる証拠でもあるため、ご安心してください。
※初期脱毛で驚いてしまい、薬剤の服用を中止してしまうと効果が得られないばかりかAGAが進行してしまう可能性があります。処方の際に医師の説明をしっかりと聞いておけば安心だと思いますが、それでも不安だという方は初期脱毛が起こった時点で医師に相談することをお勧めします。
フィンカーの飲み方・服用方法
フィンカーは前立腺治療薬としての効能があるためフィナステリドの用量が5mgとなっています。AGA治療としてはフィナステリド製剤は1mgが通常使用量です。服用の際は水で1日1回1錠服用します。プロペシアを製造したMSD社の臨床データによればAGAに用いる用量に0.2mgと1mgでは効果がほぼ変わらないとされています。フィンカーがフィナステリド5mg含まれているから5倍の効果があると思いがちですが、そういった効果はなく副作用などの身体の負担が高まるだけです。
フィンカーの副作用
有効成分がフィナステリドのためプロペシアにおけるものと同様に、ED(勃起不全)や精液減少、めまい、乳房痛などが挙げられますが、発生頻度も高くない為過度な心配はしなくても大丈夫です。ただ、不安なことや他の症状が発現した場合は、かかりつけの医師に相談することをお勧めします。
フィンカーを服用できない人
フィンカーはフィナステリド製剤なので妊娠、授乳中、これから妊娠を考えているという女性は服用されると男児の生殖器の成長に影響がありますので禁忌とされ、経皮吸収の懸念から触れることも禁忌とされていますので保管場所には十分な注意が必要です。また、フィナステリド製剤を使用中の方は献血ができません。上記のような女性や胎児への影響が考えられるため1ヶ月以上の休薬期間が必要となります。
治療薬の購入
プロスカーもフィンカーも国内未承認のため個人が購入するには取り寄せるか取り扱いのある専門の医療機関やクリニックで処方をしてもらう方法しかありません。AGAの治療薬に限らずED治療薬においてもインターネット通信販売や個人輸入代行業者を介して購入するのは大変危険です。簡単に購入できるので便利に感じますが、こうした中には偽造品が混入するなどのトラブルに合う可能性があります。実際、通販での個人輸入では6割近くが偽造品だったということが製薬メーカーでの発表でわかっています。こうしたことによる健康被害を防ぐためにも、専門クリニックや医療機関で医師の診断の元、それぞれの症状に応じた処方によって薬剤の購入をされることをお勧めします。
また、当院ではコロナウイルス感染予防を徹底しております。職員による手洗い、うがい、マスクの着用。院内の換気、消毒。電話でのオンライン診療(遠隔診療)での診察も行っております。
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