グルコマンナンの解説と働き
グルコマンナンは別名こんにゃくマンナンと呼ばれるものです。こんにゃくに含まれている水溶性の食物繊維のことでグルコノースとマンノースという成分が2:3の割合で結合したものをグルコマンナンといいます。1895年に発表されたこんにゃくに関する研究論文にてこんにゃくの主成分が「マンナン」であることが発表され、その後にこの「マンナン」が”グルコース”と”マンノース”が結びついたものであることが解明されて、1922年に正式に「グルコマンナン」と名づけられました。
グルコマンナンには水分に触れた際に大きく膨張する働きがあります。この作用は水分に触れた際に粘り気のあるゲルを作り出して大きく膨張するといったものです。その作用によって、服用することで胃の中で何十倍もの大きさに膨張し満腹感を出して食欲を抑制することが出来ます。他にも便通を改善する作用もあり、多くのダイエット食品の原料として使われている成分です。昨今では”胆汁酸”と呼ばれる、消化管内部で食物の脂肪、脂溶性ビタミンの吸収効率を高める作用を持つ成分を運び去ることで、血糖値やコレステロールを下げる作用がある事が判明し、生活習慣の予防効果も期待できるといわれています。
グルコマンナンの効果
ダイエット
グルコマンナンのダイエット効果に関してですが、こちらの研究結果をご覧下さい。
『無作為に選ばれた20名の肥満者に対し、補助食品としての精製グルコマンナンについて8週間の二重盲検法による実験を行った。プラセボとしてはでんぷんが使用された。グルコマンナン、およびプラセボはそれぞれ1gで、水8オンス(252ml)と共に1日3回、食前に投与された。被験者は食事内容及び日常の運動パターンを実験期間中変えないように指示された。結果は、次の通りである。
1) 8週間後にグルコマンナン郡で有意な体重減少を認めた(平均値5.5ポンド-2.5kg-)
2)また、グルコマンナン群で血清コレステロール、低密度リポプロテインコレステロール濃度の有意な低下を認めた(それぞれ21.7及び15.0mg/dl)』
この実験結果を見てもわかる様にグルコマンナンはダイエットに効果がある事が認められます。他の実験結果でもグルコマンナンを4週間摂取した結果、膨腹感を得られたという結果があります。
これらのダイエット効果は、食前にグルコマンナンを摂取し胃の中で膨張することで満腹感を出し、食欲を減退させることで起きるものと考えられます。
便秘の改善
便秘は野菜不足等による食物繊維の減少、不規則な生活リズムが継続することで排便習慣が定着しにくくなる、他にも無謀なダイエットで食事量の減少により便となるのに必要な量が不足するなど様々な要因があります。便秘は腹部にハリや痛みを与え、肌あれなどの美容にも影響があるといわれています。グルコマンナンには腸内細菌で分解された際に、オリゴ糖を生成する働きがあります。そのオリゴ糖には腸内環境を整えるビフィズス菌のえさになってその働きを活性化させる作用があります。それ以外にも便を柔らかくすることで便通を促す作用もあり、それらの作用が便秘改善に効果があると考えられています。
糖尿病予防
糖尿病とは血糖値が正常に保てなくなる病気で、主な原因が肥満や運動不足といった生活習慣にあるといわれる病気です。症状が重くなると血管や神経に対し悪影響を及ぼし、多くの合併症、動脈硬化、ED(勃起不全)を引き起こすといわれています。糖尿病は糖質を体内に吸収した際に血糖値の急激な上昇を防ぐためのホルモンである”インスリン”の分泌量及び反応性が低下することで血液中のブドウ糖が正常に処理されず、血糖値が急激に上昇することがある病気です。
グルコマンナンには糖の吸収を抑え、血糖値の上昇を軽減する働きがあり、ダイエットにも効果的な面から糖尿病の予防に役立つと考えられます。粘り気が強いグルコマンナンほどコレステロールや血糖値を抑える働きが強くなるといわれています。
グルコマンナン服用の際の注意点
グルコマンナンの医療用栄養補助剤は胃の中で膨張させるために粉末をカプセルに封入してあるタイプの物がほとんどです。そのカプセルを服用していただくことになるのですが、グルコマンナンは十分な量の水分がないと膨張することが出来ず十分な効果を発揮することが出来ません。具体的には250ml(マグカップ1杯分ほど)以上の水と一緒にお飲みいただく事を推奨しています。水分が不足していると効果が発揮できないだけでなく、胃に不快感を感じる可能性もありますのでご注意ください。
他にも決められた用量を超えて服用した際には腹部膨満感や下痢、腹痛といった副作用がでることもあります。お薬によって内容量が違うため服用量が変わってくるので必ず確認してから服用してください。
また、グルコマンナンには空腹時や食後の血糖値を下げる作用がありますので血糖値を抑える働きを持つ医薬品を服用している際は、その働きを増強させる可能性もありますのでご注意ください。