AGAとは
AGAはAndrogenetic Alopeciaの略であり思春期以降に発症する脱毛症です。AGAは遺伝的要素が大きく関わっており男性ホルモンの作用によって引き起こされます。AGAの原因物質である男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)は胎児期から思春期までの男性器の成長に必要なホルモンですが、壮年期には前立腺肥大症の原因にもなります。ジヒドロテストステロンは男性ホルモンの一種であるテストステロンが5αリダクターゼと結合し変化したもので、このジヒドロテストステロンが髪毛の根っこ(毛乳頭細胞)にある男性ホルモン受容体に結び付きます。そうすることでヘアサイクルが乱れ、髪の毛の成長期が極端に短くなり細く弱い髪の毛のまま抜け落ちてしまいます。
上記の5αリダクターゼという酵素は1型・2型とあり、1型は後頭部と側頭部の皮脂腺に存在し1型が多く分泌される方は脂っこい汗をかきやすくなります。2型は前立腺と前頭部から頭頂部の毛乳頭細胞にあります。2型の分泌の多い場合は髭や体毛が濃くなります。前頭部から頭頂部の薄毛が進行している方は5αリダクターゼ2型によるAGAだと考えられます。
プロペシア
プロペシアは世界60ヶ国以上で正式な治療薬として認可されており、日本国内では2005年に認可が下りていて、MSD社(旧:万有製薬)より製造販売がされています。
プロペシアは経口タイプの薬剤で1日1回決められたタイミングで飲むことで効果を得ることが出来ます。アメリカのメルク社が開発した薬剤で、かつてはプロスカ―という名前で前立腺肥大症の治療薬として処方されていました。プロペシアの有効成分はフィナステリドと言い、アメリカ南部からメキシコにかけて自生するノコギリヤシの成分の研究から開発された薬品です。
有効成分であるフィナステリドは5αリダクターゼ2型の働きを抑制し、ジヒドロテストステロンの生成を抑え、前頭部から頭頂部の抜け毛を予防します。
プロペシアジェネリック
AGA治療薬はすべてジェネリック医薬品が販売されており、プロペシアにもジェネリック医薬品があります。2015年に日本国内で初のプロペシアジェネリックが、ファイザー社より厚生労働省の認可を得て製造販売が開始されました。販売名称は「フィナステリド錠」です。これはジェネリック医薬品は「有効成分名+成分量+企業名」と決められているからですが、多くの場合、「フィナステリド1mgファイザー」ではなく「フィナス」や「フィナステリド」と略して呼ぶのが一般的です。また、フィナステリドは国産メーカーからも多数販売されています。澤井製薬や東和薬品など多くの製薬会社がジェネリック医薬品を製造販売しています。
ジェネリック医薬品は先発薬と効果が全く同じであることが認可の条件になるので、巷で噂される「ジェネリックは安いので効き目も薄い」や「添加物が違うので効き目が阻害される」といったことは一切ありません。もし仮にそういった噂の通りであれば薬剤として認可がされてはいません。薬の飲み忘れや、薬を服用する前後に飲酒をすると薬効が正しく現れない可能性がありますので、そういった点には注意しましょう。
プロペシアは先発薬のため、価格的に少々手を出しにくい場合も多いと思いますが、ジェネリック医薬品であるフィナステリドであればプロペシアに比べ安価で処方されている場合が多いので、継続治療が必須であるAGA治療において、大きな魅力を持っています。薬剤の効果は同じなので費用面から考えてもフィナステリド(ジェネリック医薬品)を選択する方が賢明と言えます。
育毛にあたって
育毛を進めていくうえでフィナステリドを服用するだけで良いのでしょうか?
答えは「ノー」です。
と言うのも、フィナステリドは非常に優秀な薬剤ではありますが、ヘアサイクルの乱れを阻止し脱毛症を抑制する効果のみに留まります。言い方を変えると育毛効果はなく脱毛だけを防ぎます。このことから育毛は「多角的」な治療が必要となります。ミノキシジルによる血行促進やシャンプーなどで頭皮環境を清潔に保つことで、髪の毛に悪影響を与えないようにすることも大切です。ストレスや睡眠不足なども髪の毛の成長には良くないので気を付けましょう。
また、毛髪の成長には栄養が必要となります。髪の毛の成長を補助するために当院では亜鉛とビタミンの摂取を強くお勧めしています。亜鉛とビタミンは髪の毛の育成や脱毛防止に必要な栄養素であり、男性では精子の原料にもなります。特に亜鉛は欧米では別名「セックスミネラル」と呼ばれており、セックスを強くする効果もあります。それぞれ髪の毛の育成以外にも健康補助効果をもたらすのでぜひ試してみてください。