今回は、ED治療薬のバイアグラ(シルデナフィル)を服用する際に、注意しなければならないバイアグラの併用禁忌にはご存知でしょうか?
バイアグラとは
バイアグラは、1998年に世界で初めて販売されたED治療薬で、アメリカ合衆国のニューヨーク州に本社を置く大手製薬メーカーであるファイザー社(英:Pfizer Inc.)が製造販売しています。現在ED治療薬は、バイアグラ、レビトラ、シアリス等、5種類あります。バイアグラは知名度が圧倒的に高く、バイアグラ100mg錠が世界で最も服用され、累計の処方数も最も多くなっています。
「バイアグラ(Viagra)」が正しい表記であり、ばいあぐら、バイヤグラというのは間違えです。有効成分は「シルデナフィル(sidenafil)」で、元が狭心症の治療として1990年に研究されていた成分でした。しかし、研究や臨床試験を多くこなしていくと、服用した被験者から勃起不全・勃起機能障害(ED)が改善することができたという報告が多数寄せられ、ED治療薬として改めて研究されました。バイアグラ(シルデナフィル)の用量は、25mg錠、50mg錠、100mg錠があり、日本ではバイアグラ25mg錠とバイアグラ50mg錠が承認されていますが、世界中で最も服用されているのはバイアグラ100mg錠です。バイアグラ100mg錠がED治療の標準薬といえます。
併用禁忌薬について
併用禁忌薬とは、飲み合わせの相性が悪い薬剤のことを指します。単体での薬剤を服用すれば良い働きをしますが、相性が悪い薬剤と飲み合わせることにより、作用の減弱や身体に悪影響を及ぼす危険があります。禁忌にも様々な種類があり、「薬剤の有効成分がアレルギーであることで発作やショックが起こるアレルギー禁忌」、「特定の病気に対して薬剤を使用により悪影響がある病気禁忌」、「妊婦と胎児に悪影響が起こる妊婦禁忌」などがあります。
バイアグラの併用禁忌薬と併用注意
バイアグラは、常用薬やバイアグラを服用する方の既往歴によって服用することが出来ない場合があります。
硝酸剤及びNo供与剤について
硝酸剤及び一酸化窒素(No) 供与剤(亜硝酸アミル、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド等)を使用している方は、バイアグラ(シルデナフィル)を服用することが出来ません。心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患に使用される硝酸剤及び一酸化窒素(No)は、海綿体内の血管拡張や筋肉を緩ませる物質「環状グアノシン一リン酸(cGMP)」の産生が刺激されるため、PDE-5阻害薬であるバイアグラと併用してしまうとcGMPが増大することで降圧作用の働きが強く現れます。硝酸剤は、様々な投与形態があり、「内服薬・舌下錠・張り薬・吸入薬・塗り薬・スプレー・注射」まどがあります。
以下、主な硝酸剤及び一酸化窒素(No)供与剤
・ニトログリセリン、ニトロダーム、ミオコールスプレー、ニトロペン、ミリステープ |
・アイトロール(一硝酸イソソルビド) |
・ハイパジールコーワ(ニプラジロール) |
・亜硝酸アミル |
・フランドル(硝酸イソソルビド)、ニトロール |
・シグマート(ニコランジル) |
・ニトプロ(ニトロプルシド) |
塩酸アミオダロンについて
主に不整脈が起こり、心不全・心室細動の症状に使用されるのが塩酸アミオダロン(アンカロン錠)です。塩酸アミオダロンとバイアグラを併用して服用すると、心臓の挙動が異常を起こし、脈が乱れてしまう可能性があると報告されています。
以下、主な塩酸アミオダロン
・アミオダロン塩酸塩錠100mg |
・アンカロン錠 |
sGC刺激剤・リオシグアト(アデムパス)について
慢性血栓塞栓性肺高血圧症の治療薬がsGC刺激剤・リオシグアト(アデムパス)です。肺血管に生じた血栓によって肺動脈圧が緩徐に上昇し、右心不全の治療薬として使用されています。バイアグラと併用すると、症候性低血圧という血管の拡張が増強され低血圧の症状が起こる可能性があると報告されています。
以下sCG刺激剤・リオシグアト
・アデムパス錠(1mg、5mg、25mg) |
ED治療薬のバイアグラも含め薬剤を素人判断で飲み合わせるのは危険です。新しい薬剤を服用する際には、必ず現在服用している薬剤と既往歴を専門知識がある医師に相談の上、安全を確認してから服用するようにしてください。
バイアグラの服用方法と使い方について
バイアグラは、空腹時に水と一緒に服用してください。効果発現時間が約30分~1時間で発現し、効果持続時間が約3時間~6時間ほど持続します。食事やアルコールの影響を非常に受けやすいバイアグラは、過度な飲酒や満腹では十分な効果が得られない場合があるため、注意してください。